富士の麓で馥郁(ふくいく)たる梅の香り、「香駿」

富士の麓で馥郁(ふくいく)たる梅の香り、「香駿」

静岡県はお茶の名産地として知られていますが、静岡県のお茶には「山のお茶」と「里のお茶」があることをご存知でしょうか。
今回は、静岡県で「山のお茶」を作られている、静岡県富士市大淵地区で茶業を営む「農事組合法人 ピュアグリーン」のもとを訪れました。

厳しい冬を越えてじっくりと育った
良質な「山のお茶」

富士の麓で馥郁(ふくいく)たる梅の香り、「香駿」

富士山の麓である富士市大渕地区は、富士市の中でも標高が高く、日中の気温差が特に厳しい地域。
また、適度に日照時間が短い天然の遮光環境や霧の影響など、お茶の木にとって適度なストレスがある栽培環境です。
こうした山地で育てられた「山のお茶」は、香り豊かで良質なお茶になることが知られています。

今回紹介する ピュアグリーンで栽培しているお茶は、全てこの「山のお茶」。
さらに一部のお茶には、さらに香りを引き出す「萎凋」という製法を使っています。
この「萎凋」とは、茶葉をあえて萎れ(しおれ)させることで、お茶が本来持っている華やかな香りを引き出す製法です。

ピュアグリーンでは、茶葉を完全に萎凋をさせているわけではなく、適切なタイミングになるまで、摘み取った茶葉をしばらく静置。茶葉に含まれる酸化酵素を活性化させます。
萎れる過程で茶葉をほんの少し発酵させることで、茶葉から独特な香りを引き出します。この工程を入れることで、そのお茶が持つ独特の香りが際立ちます。

人々を魅了する、香駿の特徴的な香り。

富士の麓で馥郁(ふくいく)たる梅の香り、「香駿」

「香駿は中村先生が開発されたんですが、これを植えた時にはまだ香駿という名前ができてなかったんですよ。ここの茶畑は、1番最初の方。香駿の走りなんです。」

香駿は「くらさわ」を母に「かなやみどり」を父にもつ緑茶界期待の品種。蘭やバラのような特徴的な香りがあります。やぶきた品種とは明らかに異なる香りを持っていることから「香駿」と名付けられたと言われています。

「香駿は本当によく香ります。香りが高いってことで植え付けたんですけどね。工場の中でももちろん匂いますし、妻がお茶を入れた時や人にお茶を飲ませる時も、香駿だけはすぐ分かります。香駿は香りだけで勝負することができるので、本当にいいお茶です。
だけど、もっともっと香駿の香りを出すために、日々試行錯誤しています。」と、香駿の魅力について語っていただきました。

梅のような風味を感じさせる秘密

富士の麓で馥郁(ふくいく)たる梅の香り、「香駿」

「ピュアグリーンの香駿が他の農家さんの香駿の茶葉の香りと異なる点としては、軽く”萎凋”をしているか、どうかですね。 」

香りの強い「香駿」の茶葉を、さらに萎れ(しおれ)させてつくることで、「香駿」が持つ強い香りに、甘みのある香りがプラスされます。

その上ピュアグリーンの「香駿」は、梅を連想させる香りが特徴的。なぜこのような風味になるのでしょうか?

「お茶を育てる時に、旨味に代わりやすい肥料を与えているんです。」と、佐野さんは詳しく教えていただきました。

「華やかな香りを強めるには、本当は肥料を控えめにした方が良いんです。でも、ピュアグリーンでは香駿にも他のお茶と同じだけ肥料を与えています。それが、旨味成分を多くさせて、甘い香りと相まって梅のような香りを感じさせるんじゃないでしょうか。特に難しいのは、肥料をつむタイミング。“みる芽”をみて、いつつんだらいいのかなって考えるのが難しいんですよ。」と、佐野さん。

富士の麓で馥郁(ふくいく)たる梅の香り、「香駿」

みる芽というのは、お茶業界では一般的に使われる言葉で、柔らかい新芽のことを指します。まだ開ききっていない、葉になる前の状態が“芽”です。芽の中でもとりわけ、生まれたての芽を「みる芽」と呼びます。

新茶の時期には、土や肥料、葉の成長をこまめに見ながら状態を確認。味や風味の決め手となる、肥料をあげるタイミングを検討しているとのこと。
長年の経験があるからこそ、そのタイミングを掴めているんです。

地元の若手農家が集まり、地元産業を守る。

富士の麓で馥郁(ふくいく)たる梅の香り、「香駿」

元々は、地元の7名の若手お茶農家が集まり、お茶工場を作ろうと一丸になったのが、きっかけだったそうです。

「僕は2代目なんだけど、親父の背中をずっと見てきて、俺にはこれしかないっていう気持ちでね。お茶農家をやっていて、ただお茶を栽培するだけじゃつまんないなってことで、 仕上げ茶まで作ろうってみんなで集まって、工場を始めようということになった。」

工場を作るにあたって、なんと7名全員とも「製茶」は未経験。最初は製茶工程の勉強をされたそうです。大学のように、授業として何単位か取り、工場の勉強に加えて、経済の勉強、 簿記の勉強、茶樹の仕立て方など幅広く学んだそう。

その結果、お茶の木を栽培する役、製茶工場でお茶を仕上げる役とそれぞれが分業をし、一つのチームのようにお茶づくりに取り組むようになったとのこと。

「研修に行って製茶の技術を覚えてもらって、一人ひとりに役割分担をつけちゃえば、それで責任持ってやるだろうって思ったんです。それぞれが自分の役割を全うしているからこそ、ここまで来れたのかもしれない。」と、熱く語っていただきました。

「工場長が変わるとお茶の味も変わる」との信念のもと、役割は25年間ほぼ変わらず。それぞれが専門性を突き詰めているとのこと。
製茶工程の条件決めに関しては、信頼のおける工場長に一任しているんだそう。「香駿」の香りが飛ばないように蒸しの時間にもこだわり、短い蒸し時間でお茶を仕上げています。

子供から大人まで香りを楽しむ、
お茶の時間を。

富士の麓で馥郁(ふくいく)たる梅の香り、「香駿」

香りが非常に高い香駿ですが、どんな食べ物と組み合わせるといいんですか?と伺うと、
「香駿には、お饅頭とか甘い和菓子とかがぴったりです。でも、焼酎割りとかも美味しいんです。芋焼酎だとお茶割りにはちょっときついですよね、 香りがバッティングしちゃうから。お茶の香りを活かすならやっぱり麦焼酎かな。あと最近流行りのジンなんかもいいね。」

香駿はおやつの時間にも、大人の晩酌の時間にも、ぴったりなお茶とのこと。
昼間はお子さんと一緒に、夜はご夫婦で。お茶の時間を共にする相手によっても、楽しみ方を変化させてくれそうです。

他の茶園のお茶との差別化。
香りや、色味、味、そして安全。

富士の麓で馥郁(ふくいく)たる梅の香り、「香駿」

「最初は、ただの深蒸し茶でしかやっていなかったんです。でも、お茶業界で生き残っていくには、他の農家にないお茶を作ることが大事だと、昔から考えていました。かぶせ茶や萎凋茶を作ることで、付加価値をつけています。香駿には、かぶせてはいないんですが、やぶきたは、かぶせることで、ドロッとした深い緑色になるんです。最近では、どんどん理想のお茶というか、いいお茶に近づいてきているなと思うんです」と、佐野さん。

「一番茶」の美味しいお茶を、
楽しんでもらいたい。

富士の麓で馥郁(ふくいく)たる梅の香り、「香駿」

標高が高い場所、山の中で作られたお茶は、日中の寒暖差にも繋がり、お茶の良さを一層引き立てていくのです。いつものお茶と“香りの変化”を楽しみたい方は、ぜひ、一度「香駿」をお試しください。
富士の麓で作られた、特別な香りを楽しめるピュアグリーンの「香駿」はALL GREENで、いつでも簡単に、味わうことができます。