ジャスミンの華のような香りを楽しむ。鈴木製茶の「蒼風」。

ジャスミンの華のような香りを楽しむ。鈴木製茶の「蒼風」。

健康のことだけを考えて飲むのではなく、せっかくなら茶葉の奥深い風味や豊かな香りも楽しんでほしい。「ALL GREEN」は、そんな想いで、一つひとつ丁寧にお茶の品種を選んでいます。

全国の茶農家が手塩にかけて育てたお茶を丁寧に飲み比べ、たどり着いたひとつの答え。それが、静岡県の鈴木製茶が育てた「蒼風(そうふう)」です。爽やかでクリアな風味が特徴的なこのお茶を、一体誰が、どんな想いで育てているのか。実際に現地を訪れ、お話をうかがいました。

日本一のお茶の産地として知られる静岡県。
青天の下、鮮やかな新芽をのぞかせる茶畑へ。

「春告鳥(はるつげどり)」とも呼ばれるウグイスの鳴き声が、あちこちから聞こえる3月末。新富士駅を降り、青空の富士山と満開の桜を眺めつつ愛鷹山(あしたかやま)の麓の方へ進むと、広大な茶畑にたどり着きます。

市街地よりも少し標高が高いこの場所は、来た道を振り向けば一面に広がる茶畑と、駿河湾へと続く静岡の街並が一望できる絶景スポット。この美しい茶畑を管理しているのが、鈴木製茶三代目の鈴木さん。「ALLGREEN」の「蒼風(そうふう)」を育てている茶農家さんです。

 

優しく、温和な雰囲気が伝わってくる鈴木さん。一番茶を摘み取る直前の茶畑を見せてもらいながら、お茶にまつわることや育て方に関するこだわりなど、いろいろなお話を聞かせてもらいました。

まるで、ジャスミンのような香りの「蒼風」。

「ここにあるのはすべて蒼風の茶の木です。蒼風は、ジャスミンのような香りがするフルーティなお茶。茶葉の色合いも特徴的ですね。一般的に、茶葉は黄色みが少し混じったもえぎ色をしています。それに比べて蒼風は、まるで果実のように鮮やかな緑色でしょう」

確かに、辺りの茶畑と比べると鮮明な色をしていることがわかります。

茶葉の色味は、蒸しや発酵を経て商品化するまでの過程でどうしても変色してしまいます。でも、茶葉の栄養をまるごと飲み干せる「ALL GREEN」なら、まさに茶葉の色そのものが粉末に。この鮮やかな緑色を、お客さまのお手元へ届けられるのは、「ALL GREEN」ならではです。

茶葉を摘み取るタイミングは「一芯三葉」。

「この調子だと、4月の初めには一番茶が摘み取れるでしょうね」

どうやって茶摘みのタイミングを判断しているのか聞いてみると、「葉の枚数」にあるそう。

「今日の茶葉は、まだ“一芯二葉(いっしんによう)”。蒼風の場合は、ここからもう少し育った“一芯三葉”ぐらいが、茶摘みにちょうどいいタイミングなんです」

「一芯」とは、まだ葉がひらいていない芽のこと。そのすぐ下にひらいた状態の葉が二枚あれば「一芯二葉」、三枚なら「一芯三葉」と呼ばれるそうです。摘み取るタイミングが早いと、まだ十分に栄養が行き届いていない状態に。反対に、4枚、5枚と葉が増えすぎてしまうと繊維質が増えて茶葉がかたくなってしまい、品質も下がってしまうそう。

「あっちの奥の方と、こっちとでは太陽の当たり方や風の吹き具合もまったく異なるんです。だから、それぞれ葉の育ち方も少しずつ違ってくる。ちょうどいいタイミングで、一番茶を収穫していきます」

鈴木さんが指すのは、わずか数メートル先の茶の木。ほんの少しの距離の差でも育ち方に違いがあると知り、驚きを隠せません。僅かな差を見極め、最高のタイミングで茶葉を摘み取るには、熟練の目利きが必要なはず。幼少期からずっとお茶の香りを感じながら育ってきたという鈴木さんだからこそ、成せる技なのでしょうか。

「いえいえ。毎年、勉強、勉強の連続です。早く育ったから早く摘み取ればいいというわけでもなく、一芯二葉がいいのか、一芯三葉がいいのかは品種によっても違ってきます。今、うちでは8品種ほどの茶の木を育てていますが、蒼風は比較的新しいもの。茶の木は植えてから収穫できるまで5、6年ほどかかるので私たちもまだ数回しか摘み取れておらず、毎年、毎年、ちょうどいいタイミングを学んでいます。ただ、今年は平年よりも冬の気温が低かったから、今までよりいいお茶になると見込んでいます」

 

寒い冬の間、茶葉はいわゆる冬眠状態になるそう。十分に休んで養分を蓄えた茶の木から、春になって最初に出てくる新しい芽。それが、お茶の中で最も品質の高い一番茶なのです。

2023年の冬は例年より気温が低い日が続いたため、茶葉の栄養状態がとても良好なのだとか。ちなみに、暖冬だと茶葉がしっかりと休めず、十分な栄養が蓄えられないそう。せっかくなら、鈴木さんも太鼓判を押す2023年の一番茶を飲んでみたいものです。

地形や土壌の僅かな差によっても変わる、茶葉の風味。

静岡と言えば日本有数のお茶の産地。鈴木製茶さんをはじめ、たくさんの茶農家が存在します。でも、同じ静岡県内の茶畑だとしても、気候や風土によって茶葉の風味や味わいは違ってくるそう。例えばどんな違いがあるのか、尋ねてみました。

「例えばこの辺りなら、愛鷹山から流れる赤渕川を境に土が少しずつ変わってくるんです。ここは富士山系で火山灰に由来した黒ボク土ですが、川を渡って東に進むほど愛鷹山系の赤土に。どちらの土壌がいい、わるいというわけではないですが、同じ品種でも飲んだときの風味やえぐみはまったく違ってくるでしょうね。黒ボク土は、比較的えぐみが出づらいのかなと思います」

「標高や近隣の自然環境によっても変わってきますよ。うちの茶畑は西側に林があるので、木々が冬の厳しい寒さを和らげてくれるんです。いい茶葉を育てるには冬の寒さが重要ではあるものの、茶葉に霜が降りるのはよくないのでね。そういう意味で、この場所は茶葉を育てるのに非常に適していると思います」

ちなみに鈴木さんは、地形を見るだけで風がどう通り抜けていくか、寒い空気がどう流れるのかなどがある程度判断できるそう。長年の経験による勘の鋭さに、またも驚かされます。

「美味」の一言に尽きる、一番茶の澄んだ味わい。

その年最初の新芽を摘み取ってつくる一番茶と言えば、昔から贈り物としても選ばれてきた高級品。「ALL GREEN」でも、一番茶を届けることにこだわりを持っています。

そんな一番茶の魅力について、改めて鈴木さんに聞いてみると……

「一番茶の魅力は、やはり口に含んだときの爽快感。茶葉本来の深い味わいが、二番茶やブレンド茶などと比べて別格です。春の新茶は風味もいいですし……何て言えばいいんだろうなあ。うまく言葉にできないけど、とにかく、美味しいんですよ」と、少し悩ましげに語る鈴木さん。

「美味しい」の言葉に勝る表現はないほど、お茶の魅力がすべて詰まった一番茶。手間暇をかけて、丁寧に、真摯に育てた本人をうならせるほどの味わい。ぜひ飲んでみたいものです。

「蒼風の一番茶は、シーンを問わず楽しめる風味が特徴でしょうね。うちのお客さまだと、特に若い人が蒼風を好んで買われる印象がありますよ。今まであまりお茶を飲んでこなかったという方も“蒼風だけはおいしく飲めるんです”と言って何度も買いに来てくれたり……紅茶やほうじ茶など、香りのたつお茶を好まれる方なら、きっと蒼風も楽しんでいただけると思います」

スッキリとした爽やかさを味わうためにオススメなのは、キンと冷えた状態で飲むこと。「ALL GREEN」で楽しむ場合は、常温の水で一度粉末を溶かしてから、氷を入れて一気に冷やして飲んでみるのがよさそうです。

手もみの時代と変わらない技術を、現代も。
茶葉の風味を、お客さまへ届けるために。

最後に、「工場の方も見てみますか?まだ茶摘みが始まっていないから機械は動いていないですけど」と、工場の中も案内してくれました。

お茶の葉は採取した瞬間から酸化が始まるため、摘み取った後はすぐに蒸しておく必要があります。浅く蒸したり、深く蒸したりすることで香りや茶葉の色合いも変わるため、品種によって工程を少しずつ変えながら、品質を保っているそう。

深蒸しすると茶葉は柔らかくなり、ほろほろと崩れていく。そうすると急須に煎れたときに茶葉がふわりと舞い、より鮮やかな緑色のお茶になるのだとか。一方で、浅蒸しだと茶葉の香りがたち、そのお茶が持つ本来の香りを楽しめるのだと、鈴木さんは言います。

育てるとき、摘み取るとき、蒸すとき、乾燥するときまで。おいしい茶葉をつくるため、さまざまな工夫を凝らす鈴木製茶のこだわりが、この工場からも垣間見えました。

「ALL GREEN」が、お茶の新しい文化になることを望んで。

「まだまだ他にも増やしたい品種がある」と話す鈴木さん。次に新しく育てたい品種も、香りが特徴的な茶葉なのだとか。

お茶を飲む時間がより楽しくなるようなものを、もっと、もっと育てていきたい。そして、より多くの方にお茶の味わいを知ってほしい。そんな鈴木さんの真っ直ぐな想いが、彼の優しい眼差しから伝わってきました。